大阪地方裁判所 昭和49年(わ)1114号 判決 1974年10月08日
一、本店所在地
八尾市老原四丁目一七〇番地
豊国製油株式会社
(代表者代表取締役 今川金治)
二、本籍
大阪府南河内郡太子町大字太子一、七四一番地の一
住居
八尾市山本町三丁目二番二二号
豊国製油株式会社代表取締役
今川金治
大正二年五月一七日生
右両名に対する法人税法違反被告事件につき、当裁判所は、検察官桐生哲雄、弁護人北尻徳五郎、同阪本政敏各出席のうえ審理し、次のとおり判決する。
主文
被告人豊国製油株式会社を罰金一、〇〇〇万円に、被告人今川金治を懲役八月に、それぞれ処する。
被告人今川金治に対し、この裁判確定の日から二年間その刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人豊国製油株式会社は、八尾市老原四丁目一七〇番地に本店をおき、植物性油脂の製造販売等の事業を営んでいるもの、被告人今川金治は、同会社の代表取締役としてその業務全般を統轄しているものであるが、被告人今川金治は、不況時対策など同会社の資産の備蓄などを目的として被告人豊国製油株式会社の右業務に関し、法人税を免れようと企て、
第一、被告人豊国製油株式会社の昭和四五年四月一日から昭和四六年三月三一日までの事業年度において、その所得金額が七、九二四万五、〇七二円で、これに対する法人税額が二、七五四万六、〇〇〇円であるのにかかわらず、公表経理上売上の一部を除外し架空仕入を計上するなどの行為により、右所得金額のうち三、五九五万五、五八五円を秘匿したうえ、昭和四六年五月三一日、八尾市本町二丁目二番三号所在八尾税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が四、三二八万九、四八七円で、これに対する法人税額が一、四三四万〇、二〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により法人税一、三二〇万五、八〇〇円を免れ、
第二、被告人豊国製油株式会社の昭和四六年四月一日から昭和四七年三月三一日までの事業年度において、その所得金額が三、三四五万六、九一八円で、これに対する法人税額が、一、〇八四万三、五〇〇円であるのにかかわらず、公表経理上期末たな卸製品の一部を除外するなどの行為により、右所得金額のうち、一、一九七万三、一二六円を秘匿したうえ、昭和四七年五月三一日、前記八尾税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が二、一四八万三、七九二円で、これに対する法人税額が六四五万二、〇〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により法人税額四三九万一、五〇〇円を免れ、
第三、被告人豊国製油株式会社の昭和四七年四月一日から昭和四八年三月三一日までの事業年度において、その所得金額が一億五、二〇六万九、二三三円で、これに対する法人税額が五、四一三万三、二〇〇円であるのにかかわらず、公表経理上売上・期末たな卸製品の一部を除外し架空仕入を計上するなどの行為により、右所得金額のうち七、三八七万三、六八九円を秘匿したうえ、昭和四八年五月三一日、前記八尾税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が七、八一九万五、五四四円で、これに対する法人税額が二、六九八万九、三〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により法人税二、七一四万三、九〇〇円を免れ
たものである。
(証拠の標目)
判示全事実につき、
一、被告人今川の当公判廷における供述並びに検察官に対する供述調書(二通)
一、大蔵事務官作成の被告人今川に対する質問てん末書(九通)
一、被告人今川作成の昭和四九年三月二七日付確認書
右のほか
判示冒頭の事実につき、
一、登記官作成の商業登記簿謄本
一、八尾市長作成の証明書
一、被告人今川作成の証明書(定款写添付)
判示第一ないし第三の各事実につき、
一、大蔵事務官作成の山西佑治に対する質問てん末書(計八通、昭和四八年一一月二七日付、同四九年二月八日付、同二一日付-二三問答までのもの、同三月一日付、同二日付、同六日付、同二〇日付-二通)
一、山西佑治の検察官に対する供述調書(二通)
一、山西佑治作成の確認書(三通)
一、丹下知良作成の供述書
一、大蔵事務官稲田登作成の現金預金有価証券等現在高検査てん末書
一、次の大蔵事務官作成の査察官調査書
稲田登(昭和四九年三月一二日付、同二〇日付)、山野重夫(三綴)、笹谷昇(二綴)
判示第一の事実につき、
一、八尾税務署長作成の証明書(昭和四五事業年度分法人税申告書写添付)
一、田口和義、佐野正久、市岡敏夫各作成の各確認書
一、大蔵事務官稲田登作成の査察官調査書(四綴、昭和四九年一月一四日付、同二月一九日付、同二三日付、同二六日付)
判示第二の事実につき、
一、八尾税務署長作成の証明書(昭和四六事業年度分法人税申告書写添付)
一、大蔵事務官作成の山西佑治に対する質問てん末書(昭和四八年一二月一八日付)
一、橋本雅夫、佐藤久晴、市岡敏夫各作成の各確認書
一、大蔵事務官稲田登作成の査察官調書(昭和四九年二月二六日付)
判示第三の事実につき、
一、被告人今川作成の確認書(昭和四九年三月一九日付)
一、八尾税務署長作成の証明書(昭和四七年事業年度分法人税申告書写)
一、大蔵事務官作成の山西佑治(昭和四八年一二月一八日付、同四九年二月二一日付-四問答までのもの)および武田康嗣に対する各質問てん末書
一、武田康嗣、橋本雅夫各作成の各確認書
一、大蔵事務官稲田登作成の査察官調査書(三綴、昭和四九年二月一六日付、同二〇日付、同二一日付)
(法令の適用)
一、被告人豊国製油株式会社
1. 構成要件 法人税法第一五九条第一項、第一六四条第一項(判示第一ないし第三)
2. 併合罪処理 刑法第四五条前段、第四八条第二項
二、被告人今川金治
1. 構成要件 法人税法第一五九条第一項(判示第一ないし第三)
2. 刑種決定 懲役刑選択(判示第一ないし第三)
3. 併合罪処理 刑法第四五条前段、第四七条本文、第一〇条(犯情の最も重い判示第三の罪の刑に加重)
4. 執行猶予 刑法第二五条第一項
(量刑事由)
本件各犯行の動機、態様、結果(とくにそのほ脱税金額-合計四、四七四万一、二〇〇円、ほ脱税率-平均約四八・三六パーセント)、犯行後の事情、被告会社の事業内容、被告人今川の経歴等を考慮した。
よつて、主文のとおり判決する。
(裁判官 堀内信明)